苦労をしながらこう遣《や》っていたが、お久が居ないくらいなら私は直《すぐ》に出て往っちまうよ」
 長「お久が居なけりゃア此方《こっち》も出て往っちまわアな、だからよう、己が悪《わり》いから連れて来て呉んな、父《ちゃん》が悪いッて是から辛抱するから、え、おい、お願《ねげ》えだ、己だってポカリと好《い》い目が出れば、又|取返《とりけえ》して、子供に着物の一枚《いちめえ》も着せてえと思って、ツイ追目《おいめ》に掛ったんだが、向後《きょうこう》もうふッつり賭博《ばくち》はしねえで、仕事を精出すから、何処《どこ》へか往ってお久をめっけて来てくんナ」
 かね「めっけて来いたっていないよ」
 長「いねえ/\と云ったって何処《どっ》か居る処《とけ》え往ってめっけて来やアな」
 かね「居る処《とこ》が知れてるくらいなら斯様《こん》なに心配はしやアしない、お戯《ふざ》けでないよ、私もお前のような人の傍《そば》には居られないよ」
 長「居られねえたって……えゝ、おい、お久を何《ど》うかして……」
 かね「何う探しても居ないんだ」
 長「居ねえって……え、おい」
 かね「お前の形《なり》は何《な》んだね、子供
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