くめえもんでも無《ね》え、手前《てめえ》はその為に留守居をしているんじゃアねえか、気を附けてくれなくっちゃア困るじゃアねえか」

        二

 かね「留守居をして居るったッて、斯《こ》んな貧乏世帯を張ってるから、使いに出す度《たび》一緒に附いては往かれませんよ、だが浮気をして情夫《おとこ》を連れて逃げるような娘《こ》じゃアありません、親に愛想《あいそう》が尽きて仕舞ったに違いないんだよ、十人並の器量を持ってゝ、世間では温順《おとな》しい親孝行者だといわれてるのに、お前が三年越し道楽《ばか》ばかり為《し》て借金だらけにしてしまい、家《うち》を仕舞うの夫婦別れをするのという事を聞けば、あの娘だって心配して、あゝ馬鹿/″\しい、何時《いつ》までも親のそばに喰附《くっつ》いてれば生涯うだつ[#「うだつ」に傍点]はあがらないから、何処《どこ》へか奉公でもするか、何《ど》んな亭主でも持つ方が、襤褸《ぼろ》を着てこんな真似をしてこんな親に附いて居ようより、一層《いっそ》の事|好《い》い処へ往って仕舞おうとお前に愛想《あいそ》が尽きて出たのに違いない、あの娘が居ればこそ永い間貧乏世帯を張って
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