いと、旦那のお小言が私《わし》の方へ来るから本当に迷惑だ、冗談じゃアないぜ」
文「誠に遅くなりました、つい高橋様のお相手を為《し》て居りまして、御機嫌を取り/\種々《いろ/\》お話しになりましたので、大きに遅くなりまして誠に相済みません」
平「旦那文七が帰りました」
主「さア/\此方《こっち》へ遣《よこ》しておくれ、実に困ります」
文「旦那只今、高橋様で種々世の中のお話が有りまして、又碁のお相手を致したものですから大きに遅くなりました、えゝそれから高橋様が此方《こちら》から持って参りました革の財布を御覧なさいまして、商人《あきんど》は妙な財布を持つ、少し借り度《た》い、其の代り此方の縞の財布を貸して遣ると仰しゃって、是を拝借致しまして、金子は慥《たしか》に百両受取って参りましたから、お改めなすってお受け取り下さいますように」
主「なに金を……何を云うんだな、変な人だな、実に、文七は使《つかい》に出せないね、本当に」
七
主人「お得意先へ掛け廻りに往って、其処《そこ》でお相手をするったって碁を打つという事はありませんよ、お前は碁にかゝるとカラ夢中だから困る
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