ゝいう気象だからお前に逆らって、何《な》んだ彼《か》んだというとお前が又癇癪を起して喧嘩を始めて、手暴《てあら》い事でもして、お母の血の道を起すか癪でも起ったりすると、私がいればお医者を呼びに往ったり、お薬を飲ましたりして看病する事も出来ますが、私がいないと、お母を介抱する人がないのだから、後生お願いだが、私は幾年でも辛抱するからお前お母と交情好《なかよ》く何卒《どうぞ》辛抱して稼いでおくんなさいよ、よ」
長「あいよ………あいよ……誠に何《ど》うもカラどうも面目|次第《しでえ》もごぜえやせんで、何《な》んともはや、何うも、はア後悔《こうけえ》しやした」
内儀「御覧よ、こういう心だもの、実に私も此の娘《こ》には感心してしまったが、お前|幾干《いくら》お金があったら此の暮が行立《ゆきた》つんだよ」
長「へえ私《わっち》共の身の上でごぜえやすから百両《いっぽん》もあればすっかり綺麗さっぱりになるんで」
内儀「百両《ひゃくりょう》で宜《い》いのかえ」
長「へえ…」
内儀「それではお前に百両のお金を上げるが、それというのも此の娘の親孝行に免じて上げるのだよ、お前持って往って又うっかり
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