え訳になっちまったんだけれども、たった一人の娘を女郎《じょうろ》に売りたくもねえし、世間へ対《てえ》しても済まねえ訳だ、又本意でもねえから、然《そ》んな事を為《し》たくもねえが、何うでも斯《こ》うでも此の暮が行立たねえから、お久、親が手を突いて頼むが、何うかまア他家《ほか》さまなら願《ねげ》え難《にく》いが、此方《こちら》さまだから悪くもして下さるめえから、此方さまへ奉公して、二年か三年辛抱してくれゝば、汝の身の代だけは一旦借金の方《かた》せえ付けてしまえば、己がまたどんなにでも働《はたれ》えて、汝の処は何《な》んとかするが、然《そ》うしてくれゝば己への良《い》い意見だから、向後《きょうこう》ふっつりもう賭博《ばくち》のば[#「ば」に傍点]の字も断って、元々通り仕事を稼いで、直《じき》に汝の身受を為《し》に来るから、それまで汝奉公してえてくれ」
四
久「私は、固《もと》より覚悟をして来た事だから、何時《いつ》までも奉公しますけれど、お前また私の身の代を持ってってしまって、いつものように賭博《ばくち》に引掛《ひっかゝ》ってお金を失してしまうと、お母《っかあ》がまたあ
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