、これを買って店頭《みせさき》で公然《おもてむき》に致しておりましても、楽《たのし》みを妨げる訳はないから、少しもお咎《とが》めはない事で、隠れて致し、金を賭《か》けて大きな事をなさり、金は沢山あるが退屈で仕方がない、負けても勝っても何うでも宜《よ》いと、退屈しのぎにあれをして遊んで暮そうという身分のお方には宜《よろ》しゅうございますが、其の日暮しの者で、自分が働きに出なければ、喰う事が出来ないような者がやりますと、自然商売が疎《おろそか》になります。慾徳ずくゆえ、倦《あ》きが来ませんから勝負を致し、今日で三日続けて商売に出ないなどということで、何うも障《さわ》りになりますから、厳《やかま》しゅう仰《おっ》しゃる訳で、併《しか》し賭博《ばくち》を致しましたり、酒を飲んで怠惰者《なまけもの》で仕方がないというような者は、何うかすると良い職人などにあるもので、仕事を精出して為《し》さえすれば、大して金が取れて立派に暮しの出来る人だが、惜《おし》い事には怠惰者だと云うは腕の好《よ》い人にございますもので、本所《ほんじょ》の達磨横町《だるまよこちょう》に左官の長兵衞《ちょうべえ》という人がござ
前へ 次へ
全38ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング