はりまして驚入《おどろきい》りましたがね。真「エ、何《なに》を驚《おどろ》いた。甚「何《なん》だか貴方《あなた》はソノお邸《やしき》から持《もつ》てお出《いで》なすつたてえことで。真「エ。甚「盗《ぬす》んで来《き》たつてね。真「何《ど》うも怪《け》しからぬことを仰《おつ》しやるねお前《まへ》さんは、私《わたし》も随分《ずゐぶん》諸家様《しよけさま》へお出入《でいり》をするが、塵《ちり》ツ葉《ぱ》一|本《ぽん》でも無断《むだん》に持つて来た事はありませぬよ。甚「いゝえ夫《それ》でも確《たしか》に持つて来なすつた。真「何《ど》うも怪《け》しからぬ事を、何《なん》ぼお前《まへ》さんは人が良《い》いからつて、よもや証拠《しようこ》のない事を云《い》ひなさるまい。甚「エヽありますとも、アノ一|番《ばん》奥《おく》の掃溜《はきだめ》の前《まへ》の家《いへ》のお関《せき》さん、彼《あ》の方《かた》が証拠人《しようこにん》です。真「証拠人《しようこにん》ならお連《つれ》なさい、此方《こつち》は些《ちつ》とも覚《おぼえ》のない事だから。甚「エヘヽヽヽ、ナニおせきさんぢやない赤いソノ何《なん》とか云《い》
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