ア有難《ありがて》えな、直《すぐ》に喰《く》はう。妻「まア/\喫《たべ》るのは後《あと》にして、早く用を仕《し》ちまつてから、ちよいとお礼《れい》に行《い》つてお出《いで》よ。亭「うむ。是《これ》から水を汲《く》んで了《しま》ひ、亭「ぢアま行《い》つて来《く》るが、何家《どこ》から貰《もら》つたんだ。妻「アノ奥《おく》のね、真卓先生《しんたくせんせい》の許《とこ》から貰《もら》つたんだよ。亭「うむ、アノお医者《いしや》か、可笑《をかし》いな。妻「ナニ可笑《をか》しいことがあるものか、何《なん》だかね、お邸《やしき》からいゝ熊《くま》の皮を到来《たうらい》したとか云《い》つて、其祝《そのいは》ひだつて下《くだ》すつたのだよ、だからちよいとお礼《れい》に往《い》つてお出《いで》。亭「何《なん》てツて。妻「何《なん》だつてお前《まへ》極《き》まつてらアね、承《うけたま》はりますれば御邸《おやしき》から何《なに》か御拝領物《ごはいりやうもの》の儀《ぎ》に就《つ》きまして、私共《わたくしども》までお赤飯《せきはん》を有難《ありがた》う存《ぞん》じますてんだよ。亭「おせきさんを有難《ありがた》う。
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