して、馬鹿な坊主で、じん/\端折《ばしょり》で出掛け、藤屋の裏口の戸の節穴からそっと覗《のぞ》くと、前に膳を置いて差向いで酒を飲んで居りますから、小声で、
眞「もしお梅はん/\」
二十一
梅「誰だえ」
眞「ちょっと開けてくださませ」
梅「誰だえ」
眞「眞達で、旦那に逢いたいので、一寸《ちょっと》なア」
永「居ないてえ云え」
梅「あの旦那は此方《こちら》においでなさいませんが」
眞「その様なことを云うてもいかぬ、そこに並んで居るじゃ」
永「あゝ覗《のぞ》いて居やアがる」
梅「おや覗いたり何かして人が悪いよ」
永「障子|閉《た》てゝ置けば宜《よ》いに」
梅「さア此方《こち》へお這入んなさい」
永「いや今|近江屋《おうみや》へ往ってのう、本堂の修繕《しゅぜん》かた/″\相談に往って、帰り掛に一寸寄ったら、詰らぬ物だが一杯と云うて馳走になって居《い》るじゃ、今帰るよ」
眞「帰らぬでも宜《え》えので、檀家の者が来ればお師匠さんが程の宜え事云うて畳替えも出来《でけ》、飛石《とびいし》が斯《こ》うなったとか何《なん》とか云えば檀家の者が寄進に付く、じゃけれど此方《こっちゃ》も骨が
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