帰らないでも宜《よ》いの」
梅「然《そ》うかえ、私と寝られゝばお父様は帰らないでも嬉しいとお思いかえ、然うお云いだと誠にお前がなア憫然《かわいそう》で、なに可愛くなってね、どんなに私が嬉しいか知れないよ、本当に少さいうちから抱いて寝たいけれども、何だか隔てゝいる中で、己《おれ》が抱いて寝るとお父《とっ》さんに云われたが、お前の方から抱《だか》って寝たいと云うのは真《しん》に私は可愛いよ」
繼「私も本当に嬉しいの」
梅「あのお前私がお膳立《ぜんだて》するから、お前仏様へお線香を上げなよ、お父様へ、いえなにお先祖様へ」
 とお梅は不便《ふびん》に思いますから膳立をして、常と異《ちが》ってやさしくお繼に夕飯《ゆうめし》を食べさせ、あとで台所を片付けてしまい、
梅「お繼お前表口の締りをおしよ」
繼「はい」
 とお繼は表の戸締《とじまり》を為《し》ようと致しますると、表から永禪和尚が忍んで参りまして、
永「お梅/\」
梅「はい今開けます、旦那でございますかえ」
 と表を開《あけ》る。永禪が這入るを見るとお繼は驚きまして、
繼「あゝれ」
 と鉄切声《かなきりごえ》で跣足《はだし》でばた/\と逃出し
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