せぬか」
七「旦那もし、私が疑ぐるも何もねえ、貴方が隠居なさればお梅を上切《あげき》りにしても宜《い》いので、疾《と》うに当人も其の心が有るのだから、その代りにねえ貴方」
永「おい/\私《わし》はお前《ま》はんのな女房を貰い切りにしたいと何時《いつ》頼みました」
七「頼まねえと、頼んでも宜《い》いじゃアねえか、吸涸《すいから》しではお気に入りませんかえ」
永「これ私《わし》も一箇寺《いっかじ》の住職の身の上、納所坊主とは違うぞえ、それはお前《ま》はんがお梅さんと私が訝《おか》しいと云うては、夫ある身で此の儘には捨置かれんが」
七「捨置かれんたってお前《まえ》さんも分りませんね、お梅はお前さんと何うなって居ると云うのは眼が有りますから知っては居ますが、何も苦労人の藤屋七兵衞知らねえでいる気遣いはねえのさ」
永「こりゃ私《わし》は覚えないぞ、えゝや何う有っても、そんな事をした覚えないわ」
 と大声を揚げて云うより早く、柄の長い大割《おおわり》という薪割で、七兵衞の頭上を力に任せ、ずうーんと打つと、
七「うーん」
 と云いつゝ虚空を掴《つか》んで身を顫《ふる》わしたなりで、只《たっ》た一打《
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