へ裾《すそ》を上から挟《はさ》んで、後鉢巻《うしろはちまき》をして、本堂の裏の物置から薪割《まきわり》の柄《え》の長いのを持って来て、ぽかん/\と薪を割り始めましたが、丁度十月の十五日|小春凪《こはるなぎ》で暖かい日でございます。
七「旦那妙なことをなさるね」
永「いや庄吉は怠けていかぬから私《わし》が折々《おり/\》割るのさ、酒を飲んだ時はこなれて宜《い》いよ」
七「なるほど是れは宜《よ》うございましょう、跣足《はだし》で土を踏むと養生《くすり》だと云いますが、旦那が薪を割るのですか」
永「七兵衞さん薪炭を使わんか、檀家から持って来るが、炭は大分《だいぶ》良い炭じゃア、来て見なんせ……此方《こっちゃ》に下駄が有るぞえ」
七「何処《どこ》に下駄が」
永「それ其処《そこ》に見なさい」
七「成程これは面白い妙な形《なり》で、旦那の姿が好《い》いねえ、何うもあなた虚飾《みえ》なしに、方丈様とか旦那様とか云われる人の、薪を割るてえなア面白いや」
永「七兵衞さん、先刻《さっき》お前、私《わし》におつう云掛《いいか》けたが、お前はお梅はんと私と訝《おか》しな事でも有ると思って疑《うたぐ》って居やア
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