塩梅《あんばい》に寺に居て、今気がつきるから一杯と云うて居たが、好い処へ来たのう、相手欲しやの処へ幸いじゃアのう、さア一杯、さア此方《こっち》へ這入りなさい」
七「へい…有難うございます、お梅時々|家《うち》へ帰って呉んな、のう子供ばかり残して店を明《あけ》ッ放《ぱな》しにして、頑是《がんぜ》ねえお繼ばかりでは困るだろうじゃアねえか、此方《こちら》さまへ来ていても宜《い》いが、家を空《から》あきでは困るから云うのだ」
梅「あゝ、だからさ、もう沢山《たんと》お仕事もないから私は一寸《ちょっと》帰ろうと思ったが、けれどもねえ、綿入物もして置こうと思って、二三日に仕舞になると思って、一時《いちどき》に慾張って縫って居るのさ、さぞ不自由だろうね」
七「不自由だって此方《こちら》さまでも仕事は夜でも宜《い》いやアな、昼の中《うち》店を明ッ放しにして、年も往《い》かねえ子供を置いて来て居ては困るからな、それに此方では夜の御用が多いのだろうから夜業仕事《よなべしごと》にしねえな、昼は家で店番をして夜だけ此方さまへ来《き》ねえな、おれも困るからよ」
永「あゝそれは然《そ》うじゃア、内は夜で宜《よ》い、
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