え》り損《そく》なって済まねえてえ噂ばかりで、お前《めえ》さんも達者で」
七「まことに宜くお出でなすった、帝釈様《たいしゃくさま》へお詣《まい》りに行こうと思って、帰りがけにお寄り申そうとお梅《うめ》とも話をして居たが……お梅」
梅「おや宜く入《いら》っしゃいました、宜く田舎の人は重い物を脊負《しょ》ってねえ」
婆「はい御無沙汰、はい己《おら》が屋敷内に実《な》りました柿で、重くもあるが何《ど》うかまア渋が抜けたら孫に呉れべえと、孫に食わしてえばっかりで、重《おめ》えも厭《いと》わず引提《ひっさ》げて来ましたよ……はア最う構わず、飯も食って来ましたから、途中で足い労《つか》れるから蕎麦ア食うべえと思って、両国まで来て蕎麦ア食ったから腹がくちい、構って下さるな…七兵衞さん、私《わし》参《めえ》って相談致しますが、惣領の正太郎は私が方へ引取《ひきと》るから」
七「何《なん》で、何《ど》ういう訳で」
十四
婆「何ういう訳もねえ、おらが方へ来てえだ云うが、おらが方へ置きたくはねえが、お前様《めえさま》ア留守勝で家《うち》の事は御存じござんねえが、悪戯《いたずら》は果《はた》
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