いで」
婆「何うした、毎度来てえ/\と思っても忙しくて来《き》られねえで、汝《われ》が顔を見てえと思って来たが、なにかお繼は達者か、なにか店へも出ねえが疱瘡《ほうそう》したか、然《そ》うだってえ話い聞いた、それ汝《われ》がに柿を持って来た、はア喰え」
正「柿、有難う、田舎のお婆さんが柿を持って来てくれると宜《い》いって然ういって居たが、お父《とっ》さんが、あのまだ青いから最《も》う少したって、お月見時分には赤くなるからってそう云ったよ」
婆「何だか知らねえがお母《っかア》が異《ちが》って何うせ旨くは治《おさま》るめえ、汝《われ》が憎まれ口でも叩いて、何うせな家《うち》もうなや[#「うなや」に傍点][#欄外に校注:おだやか○平穏○]にゃア往《い》くめえと文吉《ぶんきち》も心配して居るが、何うも仕方がねえ、早く女親に別れる汝だから、何うせ運は好《よ》くねえと思って居るが、何でも逆らわずにはい/\と云って居ろよ」

        十三

正「はい/\て云って居るの、あのねえお手習に往《い》くのも六つの六月から往くと宜《い》いて云ったけれども早いからてね、七つの七月から往く様になったから、先
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