《どうぞ》面倒を見て下さるようにお頼み申すぞ」
山「あゝ忝《かたじけ》のうござる」
と重二郎の心底|何《なに》とも申し様もございませんから、貰いました路銀を戴きます。
重「達者で行って参れよ」
とちゃら/\雪駄穿《せったばき》で行《ゆ》くのを、二人は両手を合せて泣きながら見送ります。重二郎は深い了簡がある事で、其の儘屋敷へ帰りましたが、二人は何うしても仇を討たんでは帰られません。これから仇討出立に相成りますが、一寸《ちょっと》一息つきまして。
十二
偖《さて》お話は二《ふたつ》に分れまして、水司又市は恋の遺恨で中根善之進を討って立退《たちの》きました。本《もと》はと云えば増田屋の小増と云う別嬪からで、婦人に逢っては何《ど》んな堅い人でも騒動が出来ますもので、だがこの小増は余程勤めに掛っては能《よ》く取った女と見えて、その事を後《あと》で聞いて、
小増「彼《あ》の時私があゝ云う事をした故|斯《こ》う云う事になったのだろう、中根はんは可愛相な事をした、気の毒な」
とくよ/\欝《ふさ》ぎまして見世を引いて居りますから、朋輩は
「くよ/\しないでお線香でも上げて、お
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