ません、神に誓った事もあり、仇討《あだうち》に出立致す不孝の段はどの様にもお詫致す、無沙汰で家出致す重々不埓はお宥《ゆる》し下さいと、文面は私《わし》が教えるから私の云う通りに書きなさい、また山平殿は……貴公に倶《とも》に行って下さいとは云われないが、山平殿は国表へ参って彼《かれ》を取調べ、助太刀をしてお照が仇討をして帰る時、貴公も共に其の所へ行合《ゆきあ》わし、幸い助太刀をして本意を遂げさせしと云ってお帰りになれば、貴公の家は何うか潰《つぶ》さぬ様に致そう、重二郎刀に掛けても致すから、二人へ改めて頼む訳にはいかんが、然うして仇《あだ》を討たせて望《のぞみ》を叶《かな》えてやって下さい…お前は奉公した事がないからお父様お母様に我儘を云うが、山平殿は親切なれども長旅の事、我儘な事を云って山平殿に見捨てられぬ様に中好《なかよ》う、なにさ若《も》し捨てられては仇は討てず、亦これから先は長い旅、水も異《かわ》り気候も違うから、詰らん物を食して腹を傷《いた》めぬ様にしなさい、左様《そう》じゃアないか、何でも身を大切にして帰って来てくれんければ困りますぞ、縦《たと》えあゝは仰しゃるが、二人で居たか
前へ 次へ
全303ページ中46ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング