どうぞ》御勘弁なすって下さい、お願いでございます」
重「まア/\静かに致せ、そう騒いではいかん、世間で何事かと思われる、えゝ何も騒ぐ事はない……これさお照お前|何故《なぜ》そんなに驚きなさる、私《わし》が来たので畳へ頭《かしら》を摺付け、頭を挙げ得ぬが、何《なん》と心得て左様に恐れて居《い》るのか、何うも何ともとんと私には分りません……山平殿それでは誠に御挨拶も出来ぬから頭を挙げて下さい…きん、静かに致して下の締りを宜《よ》くして置くが宜いぞ、よう、賊でも這入るといかぬ」
きん「はい誠に何うも何ともお詫《わび》の致方《いたしかた》もございません、お嬢様が何も私《わたくし》が旧来奉公を致し、他に行《ゆ》く処もないからきんや家《うち》を貸せと仰しゃった訳でもございません、世間見ずで入《いら》っしゃいますから人の目褄《めつま》に掛ってはなりませんと私がお招《よ》び申したのが初めで、何卒《どうぞ》/\御勘弁なすって」
重「これさ静かにしろよう、何だか分りませんが、それじゃア何か差向《さしむかい》で居《い》る処へ私《わし》が上って来たから、山平殿と不義|濫行《いたずら》でもして居ると心得て、私が
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