は兄様《あにさん》でも後《あと》ですよ」
正「兄でもからもう面目|次第《しでえ》もねえ、じゃア後で遣《や》っ付けやしょう、此様《こん》な嬉しい事アござえやせん……何でえ然《そ》う立って見やアがんな、彼方《あっち》へ行け、何だ篦棒《べらぼう》めえ己は弱虫で泣くのじゃアねえ此ん畜生……早く遣付《やっつ》けて」
山「なアに早く遣っ付けろと仰しゃっても、長く苦痛をさして緩《ゆる》りと殺すが宜《い》い」
繼「これ又市見忘れはすまい、お繼だ、よくも私のお父様《とっさま》を薪割で打殺して本堂の縁の下へ隠し、剰《あまつさ》え継母《まゝはゝ》を連れて立退《たちの》き、また其の前に私を殺そうとして追掛《おっか》けたな」
と続けて切ります。
山「さア/\照やお前も」
照「はい、兄の敵又市覚悟をしろ」
と切る。
山「さア/\今度は私に遣らしてくれ、可愛《かあい》い忰が不便《ふびん》の死を遂げたも此奴《こいつ》の為、また娘を斬殺《きりころ》したのも此奴の業《わざ》、此奴め/\」
と四つ角で鮪を屠《こな》すようで。
山「さア兄様《あにさん》だ」
正「今度《こんだ》ア私《わっし》の番だ、此ん畜生め親父を殺しや
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