アがって此ん畜生め」
 と鏝《こて》で以て竈《へっつい》の繕《つくろ》い直しをするようにさん/″\殴ってこれから立派に止《とゞ》めを刺す。其の中《うち》に諸方から人が出て捨てゝも置かれぬから、お繼と山平は直様《すぐさま》自身番へ参りまして、それより細やかに町奉行へ訴えに成りましたが、全く親の敵討と云う事が分りまして、殊に悪事を重ねましたる水司又市でございますから、別段にお咎《とがめ》も無く此の事が榊原様のお屋敷へ聞えました所から、白島山平|並《ならび》にお照は召返しの上、彼《か》のお繼は白島の家の養女になり、後《のち》に養子を致して白島の名跡《みょうせき》を立てますと云う。また左官の正太郎は白島山平の手蔓《てづる》から正道《しょうどう》の者で有ると榊原様へお抱えになり、後には立派な棟梁となり、正太郎左官と云われて、下谷茅町《したやかやちょう》の横町《よこちょう》池《いけ》の端《はた》へ出ようと云う処に、つい十一二年前まで家も残って居りました。目出たく親の仇《あだ》を討ちまして家栄えますると云う、巡礼敵討の物語は是が結局でございます。
[#地付き](拠小相英太郎速記)



底本:「圓朝
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