》りました。ちょうど此の時白島山平は少しも心得ませんから療治を致して一人の客を帰した後《あと》で、茶を点《い》れて一服|遣《や》って居りますると、入口から年四十二三の色の浅黒い女が、半纒《はんてん》を着て居りましたが、暖《あった》かいから脱ぎまして、包《つゝみ》へ入れて喘々《せい/\》して、
女「少しお頼みでございますがお手水場《ちょうずば》を拝借致しとうございます」
照「はい其処《そこ》は汚《きた》のうございますが、何ならお上《あが》りなすって」
女「いゝえ、汚ない処が心配が無くって宜しゅうございます」
 とつか/\と雪隠《せっちん》へ這入り頓《やが》て出て参って、
女「あの少しお冷水《ひや》を頂き度《た》いもんでございます、此処《こゝ》に有るのを頂いても宜しゅうございましょうか」
照「其処にも有りますが、汚のうございますから、是れで……さア水を」
 と柄杓で水を出すから、
女「有難うございます」
 と手に水を受けながら顔を見て、
女「おや」
照「おやまアお前はきんかえ」
きん「あら誠にお嬢様」
照「なにお嬢様どころではないお婆様《ばあさん》だよ」
きん「誠に暫く」
照「まア思掛《お
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