屋敷も御大藩《ごたいはん》でげすから、御家来衆も嘸《さぞ》多い事でございましょうが、御指南番は何方《どなた》でげすえ」
久[#「久」は底本では「山」]「なに杉村内膳《すぎむらないぜん》と云って、一刀流ではまア随分えらい者だという事で」
山「へえ成程杉村内膳、柔術《やわら》は……うん成程|澁川流《しぶかわりゅう》の小江田《こえだ》というのが御指南番で、成程あれは老人だが余程《よっぽど》澁川流の名人という事を聞きました…成程して強い御家来衆も有る事でげしょうなア」
久「沢山ある上に其の上にも/\と抱えるのは、全体殿様が武張っていらっしゃるので、武芸の道が何よりもお好《すき》でなア、先年此の常陸《ひたち》の土浦《つちうら》の城内へお抱えに成りました者が有りまして、これは元|修行者《しゅぎょうじゃ》だとか申す事だが、余程《よっぽど》力量の勝れた者で、何《ど》のくらい力量が有るか分らぬという事で」
山「はゝア大した力量の有る者をお抱えに成りましたな」
五十九
久「えゝお抱えに成りましたと云うのは、宇陀《うだ》の浅間山《せんげんやま》に北條彦五郎《ほうじょうひこごろう》という泥
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