たにあい》へ落ちて到頭其の儘に相果てたから、私《わし》も此のお照も実に一|月許《つきばかり》の間は愁傷して、泣いてばかり居って、終《つい》には眼病と相成ったから、致方《いたしかた》なく按摩に成って揉療治《もみりょうじ》を覚え、迚《とて》も生涯世に出る事は出来ぬと心得て居った所が、追々眼病も快く成って段々見える様に相成ったから同じ死ぬなら故郷懐かしく、此の江戸へ立帰って、富川町に昨年世帯を持ち、相変らず按摩を致して居《お》る内に、よう/\の事で眼病も癒《いえ》るような事なれども、揉療治を致すような身の上に成ったから、若《も》し屋敷の者に見られては相成らぬと思うて、屋敷近くへ参る事も出来ず、如何《いかゞ》致そうかと照も心配致して、又々|旅立《たびだち》を致そうか、但《たゞ》しは謝《あや》まって信州の親族の処へ参ろうかと思って居った所で有るが、一人の娘を谷間へ落して殺したのも是も皆|罰《ばち》で、両人《ふたり》の者へ歎《なげ》きを掛けるような事が身に報《むく》ったのだ、今また其の方を我手《わがて》で殺すとはあーア飛んだ事、是も皆天の罰《ばち》、こりゃア頭髪《かしら》を剃毀《そりこぼ》って罪滅
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