ら御存じでいらっしゃいましょうが、十七年|前《あと》に家出を致しまして、もう国を出ましてから十九年で、私が未《いま》だ生れぬ前に、江戸屋敷詰に成りまして、それから江戸屋敷から行方知れずに成りましたので、段々姉と両人《ふたり》で神仏《かみほとけ》に祈念して行方を捜しましたが、いまだに行方も知れず、生死《しょうし》の程も分りません、これお繼私のお父様《とっさま》の事もお前に話して有るが、若《も》し御存生《ごぞんしょう》でお目に掛る事が有ったらば、私は斯々《これ/\》の訳で不覚を取ったが、何卒《どうぞ》一目お目に懸りたいと云って居たと云って下さい」
繼「はい、確《しっ》かりしてお呉んなさいよ」
太「貴様が側で泣くと手負が気力が落ちていかん……これお前の親は榊原藩で何という名前の人だえ」
山「はい私の祖父様《じいさん》がお抱《かゝ》えに成りましたのだそうでございますが、足軽から段々お取立に成りまして、お目見得《めみえ》近くまで成りました、名は白島山平と申しまする者でございます」
太[#「太」は底本では「山」]「えゝ何だ貴様の親は白島山平……何か貴様は白島山平の忰か」
山「はい白島山之助と申しま
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