する者で」
太「おゝ是は何うも、宥《ゆる》してくれ、これ忰、貴様の親の山平は此の水島太一であるぞ」
五十七
山「えゝお父様《とっさま》あの貴方が」
と云って二人ともに膝の上に縋《すが》り付く手を取って、
太「あゝ面目次第もない、己が貴様の親だと云って名告《なの》って逢われべき者ではない、実に非義非道の親である、其の方《ほう》が懐妊中に江戸詰を仰附《おおせつ》けられて江戸屋敷に居る間に、若気の心得違いで屋敷を駈落する程の心得違いの親、実に情ない事だ、親らしい事も致さぬ親を憎いと恨まんで、宜く臨終に至るまで手前に逢いたい懐かしいと遺言まで致してくれた、あゝ面目ないが、母も歿《ぼっ》したか、うん、なに姉おやまも又市に討たれたか」
山「はい/\有難う存じます、お懐しゅうございます、お懐しゅうございます、貴方にお目に懸りたいと云って姉《あね》さんも何様《どんな》に待っておいでなすったか知れません、貴方が家出をなさいましても屋敷に居《お》られぬ事はございませんが、お母《っか》さんは心配して三年目に亡《なく》なりまして、私は少《ちい》さし姉さんも年が往《い》きませんし、外《ほか
前へ
次へ
全303ページ中262ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング