ど》は高橋を以《もっ》てする積りで、嫁入《よめいり》の衣裳や何かお前の好みもあろう、斯《こ》ういう物が欲しい、櫛《くし》簪《かんざし》は斯う云うのとか、立派なことは入らぬが、宜《よ》くお母様と相談して、其の上で先方へも申込むから宜いかえ」
照「はいお父様|私《わたくし》に養子を遊ばす事はもう少しお見合せなすって」
善「見合せる、其様《そん》な事はありません、何《なん》で見合せるのだえ」
照「はい私《わたくし》はまだあなた養子は早うございます、それに他人が這入りますと、お父様お母様に孝行も出来ません様になりますから、私も心配でございますから、何卒《どうぞ》もう四五年お待ち遊ばして」
善「そんな分らぬ事を云ってはいけません、早く養子をして初孫《ういまご》の顔を見せなければ成りません」
妻「ほんとうに養子をしてお前の身が定まれば、お父様も私も安心する、双方に安心させるのが孝行だよ……まことにあなた何時《いつ》までも子供のようでございます……あんな好《よ》い養子はございませんよ、家《うち》へいらっしゃってもあの凛々《りり》しいお方で、本当に此の上もないお前仕合せな事だよ」
善「さア、はいと返辞
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