決して間違った心は出ますまいし、私も大丈夫な方とは思いますが、気が置かれてねえ、何か打明けてお話をする事も出来ませんけれども、私も身寄兄弟は無し、江戸に兄が一人有りますが、これも絶えて音信《おとずれ》が無いから、今では死んだか生きたか分りません、若《も》し兄が亡《な》い後《のち》は私は全く一粒種で」
山「何うもよく似た事が有りますねえ、私も一人の姉が有りましたが、姉が亡くなってからは私も一粒種で、親は有ると云っても、十六七年も音信が無いから、死んだか生きたか分らぬから、真に私も一人同様の身の上だがねえ」

        五十一

繼「まア何うも、然《そ》うでございますか、それじゃア三十三番の札を打ってしまって、お互いに大願成就の暁には生涯私の様な者でも力に成って下さいませんか、本当にお前さんの志の優しいのは見抜きましたから」
山「私もお前さんに力に成って貰いたいと思ってねえ、私は彼様《あん》な煩いなどが有って、お前さんが無かったら大変な所を、信実《しんじつ》に介抱して下すったので、お前さんの信実は見抜いたから、その信実には本当に感心して惚《ほれ》る……と云う訳じゃア無いが、真にお前さ
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