々二人で寝る事に成りましたが、斯ういう事は決して遊ばさぬが宜《よ》い。どんなに堅いお方でも其処《そこ》は男女《なんにょ》の情合《じょうあい》で、毛もくじゃらの男でも、寝惚《ねぼけ》れば滑《すべ》っこい手足などが肌に触れゝば気の変るもの、なれども山之助お繼は互に大事を祈る者、一方は親の敵一方は姉の敵を打とうと云う二人で、固《もと》より堅い気象でございますから、決して怪しい事などはございませんが、だん/\親しくなって来ると。
繼「山之助さん」
山「あい」
繼「私はまア不思議な御縁で毎晩斯う遣ってまア、お前さんと一つ夜具の中で寝ると云うものは実におかしな縁でございますねえ」
山「えゝ余程《よっぽど》おかしな縁ですねえ」
繼「私はお前さんに少しお願いが有りますがお前さん叶えて下さいますか」
山「何の事でございますか、私は病気の時はお前さんが寝る目も寝ずに心配して看病して下すった、其の御恩は決して忘れませんから、私の出来る丈《だけ》の事は仕《し》ますがねえ、何ですえ」
繼「私は只斯う遣って、お前さんと共に流して巡礼をして西国を巡りますので、三十三番の札を打つ迄はお前さんも御信心でございますから、
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