い》いじゃア有りませんか、お前さんの長い煩いの中《うち》には私が足を摩《さす》って居ながら、つい転《ころ》りとお前さんの床の中へ寝た事もございますよ」
山「左様《さよう》ですかねえ」
繼「本当に費《ついえ》では有りませんか、是からも未だ長い旅をするのに、銘々《めい/\》蒲団の代を払うのは馬鹿々々しゅうございますよ、却って一人寝るより二人の方が温《あった》かいかも知れません」
山「じゃアお繼さん脊中合せに寝ましょう、けれどもねえ女と男と一つ寝をするのは何だか私は極りが悪いし、観音様にも済みませんから、茲《こゝ》に洗った草鞋の紐が有りますから、是を仕切に入れて置いて、是から其方《そっち》がお前さん、是から此方《こっち》は私としてお互に此の仕切の外へ手でも足でも出したら、それだけの地代《じだい》を取る事に致しましょう」
繼「それじゃア脊中合せが温《あった》かいから」
 と云うので到頭|脊中合《せなかあわせ》に成って寝ました処が木曾殿と脊中合せの寒さ哉《かな》で、何処となくすう/\風が這入って寒うございますから、枕の間へ脚半も入れましょう、股引も入れましょうと云って種々な物を肩に当てゝ、毎晩々
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