ましたか」
繼「はい」
山「その男は何と云う奴で」
繼「あの柳田典藏とか云いました」
山「それは大変、何うもお気の毒様、お前さんを私と間違えたのでございます」
繼「左様《そう》でございますか、私はそんな者でないと言いわけを云っても聞きませんで」
山「そりゃア全く私の間違いです、お…前さん女でございますねえ」
繼「いゝえ」
山「それでも今私が抱いて起した時に乳が大きくて、口の利き様も女に違いないと思います」
繼「左様でございますか、私は本当は女でございます」
山「左様でしょう、それじゃア私はお前さんと間違えられたのだ、私が山道へ掛ると胡麻の灰が来て汝《てめえ》は女だろうと云うから、いえ私は女ではないと云うと、そんな事を云っても乳を見たから女に違いない、金を持ってるから出せなんと云って私の頬片《ほっぺた》を嘗《な》めやアがったから、其奴《そいつ》の横面《よこつら》を打《ぶ》った処が、脇差を抜いたから、私は一生懸命に泥坊/\と云って逃げる途端に、足を踏外して此処へ落《おっこ》ちたんだ」
繼「おやまアお気の毒様」
山「私の方がお気の毒様だ」
繼「お前さん何処《どこ》へお出でなさるの」
山「私は
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