》しばって居りますから、自分に噛砕《かみくだ》いて、漸《ようや》くに歯の間から薬を入れ、谷川の流れの水を掬《すく》って来て、口移しにして飲ませると薬が通った様子、親切に山之助が摩《さす》って遣りますと、
繼「有難う/\」
山「お前さん確かりなさいよ」
繼「はい」
山「大丈夫です、私は胡散《うさん》な者じゃアございませんよ、私はお前さんと後先《あとさき》に成って洗馬から流して来た巡礼でございますよ」
繼「はい有難う怖い事でございました」
山「成程お前さんは何うなすったの」
繼「何うしたんでございますか人違いでございましょうが、私が山路に掛って来ると、後《あと》から大きな侍が追掛けて来まして、左様《そう》して私にねえ、汝《てめえ》は白島の山之助とか何とか云って、誠に久しく逢わなかったが汝の姉のおやまゆえに斯んな浪人に成ったから、汝の持ってる金を取って意趣返しをすると云うから、私は左様《さよう》な者で無いと云いますと、突然《いきなり》脇差を抜いたから、一生懸命に逃げようと思って足を踏外して、此処へ落ちましてございます」
山「それはお気の毒様、それじゃア私と間違えられたのだ、白島の山之助と云い
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