ねえけれども、この頃では盗人《ぬすびと》仲間へ入《へい》った身の上だ、斯う成ったのも実はと云うと、汝兄弟[#「兄弟」はママ]のお蔭なんだ、さア金を出せえ」
繼「私《わたくし》は左様な者ではございません、私は其の山之助と云う者ではございません、私は越中高岡の宗円寺という寺から参りました者で」
典「えゝ何と隠してもいけねえや、ぐず/\云わんでさっさと出せ、若《も》し強情を張ればたゝんでしまうぞ」
繼「いゝえ私《わたくし》はそんな人じゃア」
典[#「典」は底本では「繼」]「えゝ打斬《ぶっき》ってしまうぞ」
 と柳田典藏が抜いたから光りに驚いて、
繼「あれえ」
 と一生懸命に逃げに掛るのを後《うしろ》から、
典「待て」
 と手を延《のば》して菅笠[#「菅笠」は底本では「管笠」]の端を捉《と》ったが、それでも振払って逃げようとする機《はず》みに笠の紐がぷつりと切れる。一生懸命に逃げる途端道を踏外《ふみはず》して谷間《たにあい》へずうーん…可愛そうにお繼は人違いをされて谷へ落ちまする。すると、是を知らぬ山之助は、是も落合まで行《ゆ》く積りで山道へ掛って来ますると、後《あと》からぱた/\/\/\/\
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