を肩に掛け、柄杓を持って御詠歌《ごえいか》を唄って巡礼に御報謝《ごほうしゃ》を…はてな彼《あ》の人も一人で流している、私は随分今まで諸方を流して慣れてるから、もう此の頃はそんなに旅も怖いと思わぬが、彼の人は未だ慣れない様子、誰か連《つれ》でもある事か、それとも一人で西国へ参詣をするのか、矢張《やっぱり》三十三番の札を打ちに行《ゆ》く人では無いかと思いましたが、道中の事で気味が悪いから、迂濶《うっかり》と尋ねることも出来ません。その此方側《こちらがわ》を流して通ると云うのは、白島山之助が姉の敵を討ちたいと申して、無理に伯父に暇《いとま》を乞うて出立した者、山之助も向うへ巡礼が来るなと思いましたけれども、知らぬ人に言葉を懸けて何様《どん》な事が有るかも知れぬ、姿は優しいが油断は成《なら》ぬと思って言葉を懸けません、其の晩は鳥居峠を越して宮之越《みやのこし》に泊りましたが、丁度八里余の道程《みちのり》でございます。翌朝お繼は早く泊りを立出《たちい》でゝ、前《せん》申す巡礼と両側を流し、向うが此方《こちら》へ来れば、此方が向側と云う廻り合せで、両側を流しながら遂々《とう/\》福島を越して、須原
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