えます、もし旦那様、私《わし》も何うも、それは止《よ》すが宜《よ》いとは云い悪《にく》うござりますが、何うしたら宜うございましょう」

        四十七

和「これは何うも留《とめ》ることは出来ぬなア、思い立ったら遣《や》るが宜い」
萬「遣るたって何うも私《わし》は主人の娘が敵討をすると云うなら、一緒に行《ゆ》きてえのだが、今いう通り婆が死に掛って居るから、それを置いて行く訳にもいきませんが、一人で行《い》かれましょうか」
和「いや其処《そこ》は所謂《いわゆる》観音力で、何《ど》んな山でも何んな河でも越えられるのが観音力じゃ、敵を討ちたいという的《まと》が有って信心して札を打てば、観音の功力《くりき》で見事敵を討遂《うちおわ》せるだろう、こりゃア望《のぞみ》の通り立たせるが宜《よ》い」
萬「はい/\/\」
和「じゃア斯《こ》うしよう、是は追々に預かった小遣の貰い溜め、また別に私《わし》が遣りたい物もあり、檀家から貰うた物も有ります、沢山《たんと》持って行《ゆ》くのは危いから、襦袢の襟や腹帯に縫い付けてなア、旅をするには重いから、軽い金に取換えて、そうして私が路銀に足して二十両にし
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