力《くりき》で敵が打てようかと存じまして、それ故私は西国巡礼に参りたいので、実は笈摺も柄杓《ひしゃく》[#ルビの「ひしゃく」は底本では「ひゃくし」]も草鞋までも造ってございますから、誠に永々お世話様に成りましたのを、ふいと出ては恐れ入りますが、いよ/\参る時はお断り申そうと思って居りましたところ、ちょうど只今お話が出ましたから隠さずにお話し申します、何卒《どうぞ》叔父さんからお暇《ひま》を頂いて巡礼にお出しなすって下さい、私は江戸に兄が一人有りまして、今では音信《いんしん》不通、縁が切れては居りますが、その兄が達者で居りますれば、それが力でございますから、兄弟二人で敵を打ちまする心得、何《いず》れ無事で帰って来ましたら、御恩返しも致しましょうから、何卒叔父さん和尚様にお暇《いとま》を頂いて敵討《かたきうち》にお遣《や》りなすって下さいまし」
萬「旦那様え、敵討え、旦那様」
和「いやはや何うもえらい事を云い居《お》るな、何うじゃろう萬助」
萬「どうも、飛んだ事を云い出しました……敵討……年の行《い》かぬ身の上で、お父さんの敵を討ちたいというのは善々《よく/\》此の子も口惜《くや》しいと見
前へ 次へ
全303ページ中206ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング