出るのは」
繼「はい然《そ》う旦那様が笈摺を拵《こしら》えた事までも御存じでございますれば、お隠し申しは致しません、叔父さん…萬助さんお前さんにも永々御厄介に成りましたけれども、私の親父を殺して逃げたのは、永禪和尚と継母《まゝはゝ》お梅の両人《ふたり》に相違ございません、小川様のお調べでも親を殺したのは永禪和尚と分って居り、永禪和尚は元は榊原様の家来で水司又市と申す侍と云う事も、小川様のお調べで分って居りますが、お父さんが非業に殺され堂の縁の下から死骸が出ましたのを見てから、寝ても覚めても今迄一|時《とき》も忘れた事はございません、実に悔しいと思いまして、夜も枕を付けると胸が塞《ふさ》がり、枕紙の濡れない晩は一晩もございません、それで何うかお父さんの敵《かたき》を打とうと思いましても、十一や十二では迚《とて》も打つことは出来ませんが、もう十六にも成りましたし、お弟子さんのお話に三十三番札所の観音様を巡りさえすれば、何《ど》んな無理な願掛《がんが》けでも屹度《きっと》叶うということを聞きまして、何うせ女の腕で敵を打つ事は無理でございますが、三十三番の札を打納《うちおさ》めたら、観音様の功
前へ 次へ
全303ページ中205ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング