私《わし》が申訳が無くて困る、何だってまた、西国とは何だえ、西国とは西の国だ、そんな遠い処へひょこ/\行《い》こうと云うのは屹度《きっと》連れが有るに相違ない、えゝ私は永い間お祖父様《じいさん》の時分から勤めたのだが、お前のお父《とっ》さんが意気地《いくじ》なしだから此方《こっち》へ引込《ひっこ》んで来なすった、それで私は銭も何も有りやアしないが、大工町に世帯を持たしたが、引込むくらいだから何も出来やアしない、それから和尚様の御丹誠で悪党の一件の後《あと》の始末を附けられないのを、皆御丹誠下すった、それを今お前がぷいと行ってしまっては和尚様に済まない、己も亦方丈様に済まない、済まないよ、方丈様によ」
和「まア/\そう小言を云いなさるな……お繼何も隠さいでも宜い、何ういう訳で白の脚半や笈摺《おいずる》や柄杓《ひしゃく》を買ったのだの、大方巡礼にでも出る積りであろうが、何の願いが有って西国巡礼をするのじゃい、巡礼と云えば乞食同様で、野に臥《ふ》し山に寝、或《あるい》は地蔵堂観音堂などに寝て、そりゃもう難行苦行を積まなけりゃア中々三十三番の札を打つ事は出来ぬもんじゃ、何う云うものだえ、巡礼に
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