ってる者が居なくなると困るから、私《わし》を呼んだと仰しゃるのだ、全体お前、何だって巡礼に出るのだえ、誰か其様《そん》な[#「其様《そん》な」は底本では「其様《そんな》な」]事を勧めたのかえ」
和「まア待ちなさい、お前のように半ばから突然《いきなり》に云い出しても、繼には分りゃアしない、始めから云いなさい」
萬「私《わし》は気が短いもんですから、突然《いきなり》出任《でまか》せに云いますので……えゝお繼お前何ういう訳で巡礼に出るのだえ、十二の時から御厄介になって十六まで和尚様が御丹誠なすって、全体お前は両親が無いじゃアないか、そこを和尚様が御丹誠なすって下すって誠に有難いことだ、それのみならず、もう年頃に成るから永く置いてはいけないから、相当な処へ縁付けたいと仰しゃってる、男の積りにして有ったがもう十六七に成れば臀《しり》がぶて/\して来るし、乳も段々とぽちゃ/\して」
和「これ萬助どん、余計なことを云わいでも宜いわな」
萬「でも貴方の仰しゃった通りに云うので……それで段々女に見えるから嫁《かたづ》けたいと云って支度の金《きん》までも出して下さる、それをお前が無にして行《ゆ》かれちゃア
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