え存じますが、何うも婆の方が先へ死にそうで……いゝえなに老病《としやみ》でござりましょうから、思うように宜くはなりません、それ故に御無沙汰を、えゝ只今急にお使で急いで出ましたが、何か御用で」
和「あいまア此処《こゝ》へ来なさい」
萬「へえ御免を蒙ります」
和「さて萬助どん、外《ほか》の訳じゃア無いが、まアお前の頼みに依って私《わし》が処《とこ》へ逃込んで来て、何う云うものか、それなりにずる/\べったりに成って居《い》るのは、藤屋《ふじや》の娘のお繼じゃて」
萬「はい/\/\、何うも御厄介でござりまして、誠にはア私《わし》が貧乏な日傭取《ひようとり》で、育てる事も出来ませぬなれども、私の主人の娘で何《ど》の様《よう》にもとは思いましたが、ついはや好《よ》い気になって和尚様へ押付放《おしつけぱな》しにして何《なに》ともお気の毒様、へえ誠に有難い事でござりまして、若し此方《こなた》が無ければ致し方のないわけでござります」
和「誠に彼《あれ》は怜悧《りこう》な者でなア、此処へ遁込《にげこ》んでから、私《わし》が手許を離さずに側で使うて居《い》る、私が塩梅《あんばい》悪いと夜も寝ずに看病をする、
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