世の別れ、おやまはそれなり息が絶えました。これを見ると山之助はわっと其の場に泣倒れます。なれども伯父は、
多「何うも致し方が無い、幾ら泣いても姉の帰るものじゃアないから諦めるが宜い、若し貴様が煩うような事が有っては己が困る」
 と云い、村方のお百姓衆も色々と云って山之助に力を附け、漸《ようや》くの事で村方の寺院へ野辺の送りを致しました。

        四十五

 扨《さて》お話二つに分れまして、丁度此の年越中の国射水郡高岡の大工町、宗円寺といふ禅宗寺の和尚は年六十六歳になる信実なお方で、萬助という爺《じゞい》を呼びに遣《や》ります。
和「おゝ萬助どんか、来たら此方《こっち》へ這入りなさい」
萬「へへえ何うも誠に御無沙汰を致しました、一寸《ちょっと》上らんければならぬと存じましたが、盆前はお忙がしいと思いまして、それ故にはア存じながら御無沙汰を致しました、それに又|婆《ばゝあ》が病気で足腰が立ちませんで、私《わし》もまア迚《とて》も/\助からぬと思って居ります……なに最う取る年でござりますから致しかたは無いと思いますが、私が先へ死んで婆が後《あと》へ残って呉れなければ都合が悪いと、へ
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