理恋慕を言掛けて此の始末に及ぶと云うは悪《にく》い奴、お山何か思い置く事が有りはしないか」
と云うと、山之助も涙ばかり先立ち、胸が閉じて口を利く事も出来ませんが、漸《ようや》くに気を取直して。
山「姉《ねえ》さん/\確《しっか》りしてお呉んなさいよ、今お医者様を呼びに遣《や》りましたから、確かりしてお呉んなさいよ」
と云う。伯父もお山の傍《そば》へ参り耳に口を寄せて、
多「お山やア/\しっかりして呉れよ」
と呼びまする。その声が耳に入《い》ったから、がくりッと心付いて、起上って見ると、鼻の先に伯父が居り弟も居りますが、もう目も見えなくなりましたが、やっと這出して山之助の手を握り、
やま「山之助」
山「あい姉《あね》さん確かりしてお呉んなさいよ伯父さんも此処《こゝ》へ来て居ますよ、村方の百姓衆も大勢来て、手分をして又市の跡を追手《おって》を掛けましたから、今にお前さんの敵《かたき》を捕えて、簀巻《すまき》にして川へ投《ほう》り込むか、生埋《いきうめ》にして憂目《うきめ》を見せて遣ります、姉さん今にお医者様が来ますから、確かりしてお呉んなさい」
やま「伯父さん」
多「あい此処に居りや
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