吹く、すると又向うの方でぶうーと云う、一軒吹出すと離れて居ても山で吹出す、川端の家でも吹出すと、村中で家数《いえかず》も沢山《たんと》は有りませんが、ぶうー/\と竹法螺を吹出し、何事かと猟人《かりゅうど》も有るから鉄砲を担《かつ》ぎ、又は鎌|或《あるい》は鋤《すき》鍬《くわ》などを持って段々村中の者が集まるという。これから水司又市を取押えようとする、山之助おやま大難のお話でございます。
四十四
水司又市は十方でぶう/\/\/\と吹く竹螺《たけぼら》の音《ね》を聞きまして、多勢の百姓共に取捲《とりま》かれては一大事と思いまして、何処《どこ》を何う潜《くゞ》ったか、窃《ひそ》かに川を渡って逃げた跡へ村方の百姓衆が集って来ましたが、何分にも刃物は利《よ》し、斬人《きりて》は水司又市で、お山は余程の深傷《ふかで》でございますから、もう虫の息になって居る処へ伯父が参り、
多「あゝ情ない事をした、そんな悪人とは知らずに、恩返しの為だから丹誠をして恩を返さんければならぬと云って、直《すぐ》に行《ゆ》こうと云うのを無理に留めたが、それが現在自分の連れて来た比丘まで殺して、其の上無
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