すから心を慥《たし》かに持ってな、此の位の傷では死にやアしなえから、必ず気を丈夫に持たねえではいけないぞ」
やま「あい伯父さん、永々御厄介になりまして、十六年あとにお父様《とっさま》が屋敷を出て行方知れずになってから、親子三人でお前様のお世話になり、其の中《うち》お母様《っかさま》も亡くなってからは、山之助も私もお前様に育てられ、お蔭で是れまでに大きく成りましたから、山之助に嫁を貰って、私はお前|様《さん》のお力になり、御恩を送る積りで居りましたが、何の因果か悪人の為に、私は伯父さんもう迚《とて》も助かりません、これまで信心をして、何卒《どうぞ》御無事でお父様がお帰り遊ばすようにと、無理な願掛《がんがけ》を致しましたが、一目お目に懸らずに死にまするのは誠に残念でございます、私の無い跡では猶更身寄頼りの無い弟、何卒目を掛けて可愛がって遣って下さい、よ伯父さんお頼み申しますよ」
多「あいよ、そんな心細い事を云って己も娘ばかりでござりやすし、外《ほか》に身寄頼りの無い身の上、娘はあの通りのやくざ阿魔で力に成りやアしねえから、お前方《めえがた》二人が実の娘より優しくして呉れたから、力に思って居
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