四十三
やま「はい、あのお前さんが情知らずのお人かと存じます、惠梅様と云う女房《にょうぼ》が災難で切殺されて、明日《あした》法事をなさると云う、お寺参りに往《ゆ》く身の上じゃア有りませんか、その女房《にょうぼう》が死んで七日も経《た》たぬ中《うち》に、私《わたくし》に其様《そん》な猥《いや》らしい事を言掛けるのは、余《あんま》り情《じょう》のない怖ろしいお方と、ふつ/\貴方には愛想《あいそ》が尽きました」
又「惠梅も憎くはないが、実は私《わし》が殺したのじゃア」
やま「え……」
又「さア、斯《こ》う私《わし》が悪事を打明けたら致し方はない、実は私が殺したのじゃア、お前此の間何と云うた、惠梅さんと云うお方は貴方の女房じゃアないか、彼《あ》のお方に義理が立ちません、私の云う事は聴かれませんと云うから、惠梅がなければ云う事を聴こうかと思うて、殺して此方《こちら》へ帰って来たのじゃア、何うじゃア」
やま「まアどうも怖いお方でございます」
と慄《ふる》えながら云うのを山之助は寝た振りをして聞いて居りましたが、うっかり口出しも出来ぬから、何うしよう、こっそり抜出し、伯父の処へ駈けて往《い》こ
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