こそ/\話をしている様子でございます。とん/\/\/\。
又「おやまさん」
山「はい誰だえ」
又「一寸《ちょっと》開けてお呉んなさい、又市じゃア明けてお呉んなさい」
やま「又来たよ、又市が何うして来たねえ」
山「はい何でございますか、昼間お立ちなすった方ですか」
又「一寸開けて下さい、災難事が有って来たから」
山「はい/\」
と山之助が表の半戸《はんど》を開けますと、きょと/\しながら這入って、
又「此方《こちら》へ惠梅比丘尼は来ませんか」
山「いゝえお出《いで》なさいません」
又「はてな何うも、今に此方へ来るに相違ないが、城坂峠へ掛るとね、全体月岡へ泊れば宜かったが、修行の身の上路銀も乏しいから一二里は踏越そうと思ったから、峠の中ばまで掛ると、四人ばかり追剥が出まして、身ぐるみ脱いで置いて往《い》けという故、此方《こっち》は修行者でございますから路銀は有りませぬ、お比丘尼を助けてと云うに、然《そ》うは往かぬときら/\する刀を抜いて威《おど》す故、私《わし》がお比丘に目配《めくば》せしたら惠梅比丘尼は林の中へ駈込んで逃げたから、最う宜《よ》いと思い、種々《いろ/\》云って透《すき》を
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