とりのぼ》せて居りますから、木の根に躓《つまづ》き倒れる処を此方《こちら》は駈下《かけお》りながら一刀浴せ掛ければ、惠梅比丘尼の肩先深く切付けました。
梅「あゝ私を切ったな悪党、お前は私を殺して彼《あ》のおやまさんを又口説こうという了簡だな」
と足にしがみ付くを、
又「おゝ知れた事だ」
と云いながら、刀を逆手《さかて》に持直し、肩胛《かいがらぼね》の所からうんと力に任して突きながら抉《こじ》り廻したから、只《たっ》た一突きでぶる/\と身を慄わして、其の儘息は絶えましたが、麓《ふもと》から人は来はせぬかと見ましたが、誰《たれ》あって来る様子もないから、まず谷へ死骸を突落そうと思うと、又市の裾に縋《すが》り付いたなりで狂い死《じに》を致しました故中々放す事が出来ませんから、惠梅の指を二三本切落して、非道にも谷川へごろ/\/\/\どんと突落し、餞別に貰いました小豆《あずき》や稗《ひえ》は邪魔になりますから谷へ捨て、血《のり》を拭って鞘に納め、これから支度をして、元来た道を白島村へ帰って来ました。悪い奴は悪い奴で、おやまの家《うち》の軒下へ佇《たゝず》んで様子を聞くと、おやま山之助は、何か
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