居ります位で」
又「はア左様かえ、お前さんまだ御亭主《ごていし》は持たずに」
やま「はい」
又「二十二に成って亭主《ていしゅ》を持たずに、此のどうも花なら半開という処その何うも露を含める処を、斯う遣《や》って置くは実に惜しいものじゃアね、お前さん」
やま「はい」
又「お前まアねえ、一杯飲みなさいな」
やま「いゝえ私《わたくし》は御酒は少しも戴きません」
又「其様《そん》な事云わんでも宜《よ》い、私《わし》のじゃアに依《よ》って半分ぐらい飲んで呉れても宜いじゃないか」

        三十八

やま「いゝえ半分などと仰しゃっては困ります、お厭なれば何卒《どうぞ》其処《そこ》へお残し遊ばして」
又「おやまさん、私《わし》は最うこれ四十に近い年をして、お前のような若い女子《おなご》を想うても是は無駄と知っては居るが、真実お前のような柔《やさ》しい、器量といい、其のどうも取廻しなり口の利きようといい別じゃアて、心に想うて居ても私はまア今まで口に出して言やせぬが何《ど》うだえ、私は真実お前に惚れたぜ」
 とおやまの手を取ってぐっと引寄せに掛りましたから堅い娘で驚きまして、振払って後《あと》へず
前へ 次へ
全303ページ中172ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング