梅比丘尼は方々へ斎《とき》に頼まれて参り、種々《いろ/\》な因縁話を致しまして、
梅「私も因縁あって尼になり、誠に私は若い時分種々の苦労も有ったが、只今では仏道に入《い》って胸の雲も晴れて、実に世の中を気楽に渡る、是が極楽と申します」
などと、尤《もっと》もらしい事を云うと、田舎の百姓衆は此方《こちら》へ何卒《どうぞ》いらっしゃって、私の親類が三里先に有りますが、是へもと云ってお布施を貰い、諸方へ参ってお斎を致しますと、お布施の外《ほか》に割麦《ひきわり》或《あるい》は粟《あわ》稗《ひえ》などを貰って、おやまの家《うち》の物を食って居るから、実は何時《いつ》までも置いて貰いたいと思って居りますうちに疵も癒り、或日《あるひ》惠梅比丘尼は山之助と隣村まで参りまして、又市は疵口の膏薬を貼替えまして、白布で巻いては居りますが、疵も大方|癒《いえ》たから酒好《さけずき》と云う事を知り、膳立《ぜんだて》をして種々の肴を拵《こしら》えまして、
やま「もしあなた、一杯お酒を癇《つ》けましたから召上りませんか、お医者様も少し位召上っても障《さわ》りには成らないと仰しゃりますから、一口召上りまして」
又
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