で出会いました者は、弟山之助に村方の者でございます。
山「姉は何処《どこ》へ担がれて参ったかと、伯父多右衞門と大きに心配して尋ねに参る処で、貴方が助けて下すったか有難う存じます」
皆々も大悦びでございます。
又「実は斯《こ》う云う訳で、図《はか》らずも通り掛ってお助け申したが実に危《あぶな》い事であった、併《しか》しお怪我もなくて幸いの事で有りましたが、就《つい》ては私《わし》も止むを得ず二人まで殺したからは其の届を出さなければ成るまいが」
多「はい/\届けましても御心配はございません、重々悪い事が有る奴でございますから」
と是から名主へ届けました処が、素《もと》より悪人という事は村方で大概ほしの付いて居ります旅魚屋の傳次なり、おやまを辱《はず》かしめようとした廉《かど》があり、直《すぐ》に桑名川村へ調べに参ると、典藏は家を畳み、急に逐電致しました故、此の事は山家ではあるし、事なく済みましたが、此方《こっち》は急ぐ旅でないから疵《きず》の癒《なお》る間逗留して下さいと云われ、おやま山之助二人暮しの田舎|住居《ずまい》、又市は幸いにして膏薬を貼って此の家《いえ》に逗留して居る間は、惠
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