面目次第もございません、つい一夜《ひとよ》参りましたが、とんと不待遇《ふあしらい》でござって、残念に心得、朋友にも迚《とて》も田舎侍が参っても歯は立たぬなどと云われますから、残念に心得再度参りました処が、如何《いか》に勝手を心得ません拙者でも、余りと云えば二階中の者が拙者を欺きまして、あまり心外に心得まして……それ其処《そこ》に立って居ります、貴方《あなた》のお側に立って居《い》るその小増と申す婦人に迷いまして、金を持って来れば必らず靡《なび》くと申しますから、昨夜二十金才覚致して持って参りますと、それを不礼《ぶれい》にも遊女の身として拙者へ対して悪口《あっこう》を申すのみか、金を膝の上へ叩付けましたから残念に心得、彼様《かよう》な事に相成りまして、誠に何うもお目に留《とま》り恐れ入りますが、どうか御尊父様へも武田様にも内々《ない/\》に願います」
四
善「左様か、この小増は私《わし》が久しい馴染で、斯《こ》ういう廓《くるわ》には意気地《いきじ》と云って、一つ屋敷の者で私に出ている者が、下役の貴公には出ないものじゃ、そこが意気地で、少しは傾城《けいせい》にも義理人情
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